オンライン道徳科学研究フォーラム「廣池千九郎の真精神に学ぶ」を開催

 令和3年11月13日、オンライン道徳科学研究フォーラムを「廣池千九郎の真精神に学ぶ」をテーマに開催。オンラインで150名、所員や関係者を含めると170名という、当初の予想をこえる参加者がありました。今回は、以前のアンケートで関心が高かった「最高道徳の学び方や実行」について、最高道徳の中心的概念である「伝統」を取り上げ、3名の発表と全体討論を通じて学びました。

 

 開会にあたり、犬飼孝夫道科研所長は、「全国からの多くの方々に参加いただいた。本日の研究フォーラムを通じて、皆様とともに『伝統』という概念の内実を探り、その今日的意義について対話することができればありがたい」と述べました。

 

 立木教夫道科研客員教授は、「『モラル[サイエンス]に伝統のこと、何らかの形式にて入れます』という記事の前後の時期における廣池千九郎の事蹟」と題して、廣池の大正14年5月12日の日記の記述に焦点を当て、その前後の事跡から、「伝統」の概念の成立過程や廣池の心の動きをたどりました。

 

立木教夫客員教授

 

 矢野篤廣池千九郎記念館副館長・道科研研究員は、「父の遺志を祖述する ― 廣池千英の事跡から」と題して、廣池千九郎の遺志を、息子である廣池千英がどのように祖述しようとしたか、その経緯と精神的深化について、資料や写真を紹介しながら報告しました。

 

矢野 篤研究員

 

 玉井哲生涯学習センター教育相談員・生涯学習講師は、「最高道徳は「誠(=神の心)」に生きる道 ― 「精神伝統」という概念をめぐって」と題して、研究所創立から100年を迎えようとしている今日、私たちは「伝統」という概念をどのように捉え、地球的な倫理道徳の提言として広く共有していけばよいか、という視点から考察しました。

 

玉井哲生教育相談員

 

 全体討論では、宗中正道科研副所長がモデレーター(進行役)となり、参加者からQ&A欄に寄せられた質問を取り上げながら、「伝統」という概念を通じて廣池千九郎の真精神への理解をどのように深めるか、「伝統」という概念を今後どのように広く共有していけばよいか、という視点から話を進めました。

 

全体討論の様子

 

 閉会挨拶では、宗副所長が、「「伝統」などのモラロジーの中心的概念について、その成り立ちや意味について理解を深め、じっくり味わうことが、モラロジーを学ぶ私たち一人ひとりに大切なことだとあらためて感じた。このような研究・学習・実践が一体となった研究会を今後も企画していきたい」と述べました。

 

 参加者アンケートには、「楽しい学びの時間だった」「統一テーマを中心とした発表と討論で分かりやすかった」「道科研の研究をこのような形で共有できてありがたい」などの感想が寄せらせました。ご参加、ご協力いただいた皆様に御礼申し上げます。

 

※令和4年2月19日(土)~20日(日)の道徳科学研究フォーラムは、
 会場参加50名限定のハイブリッド方式で開催する予定です。