現代倫理道徳・コロキアム開催報告
「定住外国人の社会的包摂と道徳の役割」をテーマにコロキアムを開催
令和8年10月8日、道徳科学研究所の現代倫理道徳研究プロジェクト主催によるコロキアム「定住外国
人の社会的包摂と道徳の役割:共生の現場から」を対面・オンライン形式で開催しました。
近年、日本に暮らす外国人の増加と定住化が進むなか、多様な文化的・宗教的背景をもつ人々が、地
域社会でどのように関係を築き、共に暮らしていくのかが重要な課題となっています。本コロキアムで
は、外国人が集う宗教施設や宗教コミュニティに着目し、社会関係の形成や地域社会との接点
において宗教が果たす役割を、実証的な研究成果から考察しました。
川添航先生(立正大学)
前半では、川添航先生(立正大学)が「宗教活動から多文化共生を考える:外国人向け宗教施設の拡
大が意味するもの」と題し、外国人向け宗教施設の広がりや、移住者の生活と宗教活動、地域社会との
関係について報告しました。続いて、三木英先生(相愛大学)が「ニューカマー宗教を見澄ます:なぜ
ここに日本人がいて、そこに日本人がいないのか」と題し、外国人による宗教コミュニティと日本人と
の接点や、その形成をめぐる課題について報告しました。
三木英先生(相愛大学)
後半では、道徳科学研究所の大野正英先生と田島忠篤先生による指定討論に続き、参加者を交えた活
発な議論が行われました。外国人の宗教施設に日本人の姿が少ないことと、日本の伝統的な宗教施設に
おける若年層の参加減少との共通性が指摘されたほか、宗教法人格の取得状況、日本人側からの関わり
方、多様な背景をもつ外国人に対する企業の役割など、宗教施設の枠を越えた幅広い意見が交わされま
した。
(左からコーディネータ:冬月律主任研究員、コメンテーター:田島忠篤客員教授、大野正英教授)
今回のコロキアムは、当研究所にとって新たな研究領域に触れ、多文化共生の現状と課題への理解を
深める貴重な機会となりました。異なる文化や宗教的背景をもつ人々の間で、相互理解や信頼はいかに
形成され、どのような規範や価値観が共有されうるのか。今回得られた知見や議論を手がかりに、現代
社会における倫理道徳、さらにはモラロジーの役割や可能性について、今後も考察を深めていきたいと
考えています。
(文責:現代倫理道徳研究プロジェクト 冬月律)