第3回 モラルサイエンス・コロキアムを開催

 令和2年2月12日、第3回モラルサイエンス・コロキアムを麗澤大学生涯教育プラザにおいて開催。「『地方消滅』とモラルサイエンス~個人・社会・国家をいかに守るか~」をテーマに、内外の研究者を中心とした30名の参加者が集いました。

 

 スピーカーとして藤井聡・京都大学教授、古川雄嗣・北海道教育大学准教授、冬月律・道科研主任研究員の3名が発表。

 

 藤井教授は「規範活性化理論(NAT)から考える日本の地方消滅/国家消滅の危機」と題して、人が援助行動(helping behavior)を取るに至る過程をシュワルツの規範活性化理論(1977)を使って説明。「人はある状況においてまず援助行動を取る必要性を感じ、次に自己の責任を認識し、さらに、自ら行動すべきという信念へと段階を経て道徳意識を活性化する。地域を救う、国家を救うという意識も同じプロセスを経る」という発表でした。

 

 古川准教授は「体験的北海道論‐地方切り捨ての末路‐」と題して、北海道が直面する危機的状況について説明。「一般国民が抱く北海道のステレオタイプのポジティブなイメージは虚構で、現実は札幌への極端な一極集中と他都市の没落が顕著であり、もはや自助努力による発展は不可能」という現地からの視点での発表でした。

 

 冬月主任研究員は過疎化に伴う過疎地における神社仏閣の消滅が進行する現実について解説。近年の御朱印帳ブーム、パワースポットブームなどによる参詣者の増加は信仰の高揚を意味しておらず、日本の宗教文化継承の側面から存在意義を再考しなければ寺社の淘汰を防ぐことはできないと主張しました。

 

 発表の後、全体懇談では、橋本富太郎道科研主任研究員がコーディネーターを務め、3名の先生方とともに、会場からの地方消滅に対する具体策などの質問も取り込みながら熱心な議論が交わされました。

 

藤井聡・京都大学教授

 

30名が参加 

 

活発な議論が交わされた