道徳科学研究フォーラムin四国を開催
9月22日、モラロジー研究所四国出張所(香川県観音寺市)において「継承の危機にどう立ち向かうか」をテーマに、道徳科学研究フォーラムin四国を開催しました。
まず、道徳科学研究センターから3人の研究員が、それぞれの専門を活かしながらテーマにそって発表。
小山高正客員教授は「少子高齢化した核家族社会で家系をつなぐ意味」というタイトルで、自身の長年の研究である霊長類の研究をもとに、家族集団の発生から進化について説明。家族システムに話が移ると、「核家族化・少子高齢化社会がさらに進む中で、祖先供養から自分の死後設計へと意識が変わってきており、今後、葬儀やお墓が個人化・無縁化へと広がっていくことは否めない。その中で、祖先の本質をもう一度再確認し、形式にこだわらず、祖先を敬い子孫を愛する精神を受け継ぐことの意義と自覚が大切である」とまとめました。
冬月律主任研究員は「人口減少社会における伝統宗教の現状と課題」というタイトルで、宗教社会学の立場から、長年にわたる過疎地の寺院と神社を対象にした調査報告を行いました。今後も人口減少による担い手不足に苦しむ地域神社が増える中、それぞれが「なぜ神社は必要なのか」を真剣に考える時期を迎えているとの発表がありました。
大野正英教授は「継承の原理としての伝統の原理」というタイトルで、家族、地域、企業、国家、人類という共同体において、世代間における継承の重要性と課題について取り上げました。受け継いだものを次の世代に引き継いでいくことが、前の世代に対する感謝報恩となるという視点を提示しました。
発表の後、全体懇談として会場からの質問を中心に、活発な意見交換がありました。中には、「家を残すという課題のために、結婚ができずにいる方が四国では、非常に多いと感じます。個人・家族・地域・団体がそれぞれにおける対応を考えると発表されましたが、具体的にどのような対応をしていったらよいのでしょうか」といった地方の抱える大きな問題提起もありました。
研究員と参加者との間で、これからの切実な問題について、共に考えるフォーラムとなりました。