オンライン道徳科学研究フォーラム「モラロジーにおける教育者とは」を開催
令和4年10月29日、「モラロジーにおける教育者とは」というテーマで、オンライン道徳科学研究フォーラムが開催され、個人参加52名、団体2口のお申し込みがありました。
はじめに、道徳教育研究推進プロジェクトの江島顕一リーダーより趣旨説明がありました。令和という新しい時代に求められる、モラロジーにおける教育者像とはどのようなものか。これを廣池千九郎の思想、その門人の言行、建学の精神などから、多面的・多角的に検討しました。
まず宮下和大主任研究員は「麗澤らしい先生像」と題し、宗武志氏と廣池千英氏の教育実践について紹介しました。どのような些細なことでもすべて「人類の生存・発達・安心・幸福」を期して教育にあたり、「人を育てる人を育てる」ことを大事にした両氏の実践を踏まえ、新しい時代のモラロジー教育、麗澤教育を模索すること、特に自校学習や専門教育を通じた展開の可能性について示しました。
続いて橋本富太郎主任研究員は「創立者の考える教育者像」と題し、廣池千九郎の師である小川含章との出会いから道徳科学専攻塾の設立に至るまでの教育思想をたどりました。教育者としての事蹟や『道徳科学の論文』などの原典から、廣池千九郎が真の教育者とは人心開発救済者であり、安心・平和・幸福享受のための知徳(スキル)を授ける者と捉えていたことを明らかにしました。
そして石川恭治廣池千九郎記念館主幹は「モラロジーにおける教育者とは―最高道徳と教育について―」というタイトルで、廣池千九郎の教訓からその本質に迫りました。麗澤で教鞭をとられた石川主幹自らの経験を交えながら、慈悲の心をもって人心開発救済を標準とし、人格の直接感化を通した教育を目指すことの重要性を説きました。このことは学生・生徒だけでなく、教育者自身の道徳的成長を促す作用もあることも述べました。
質疑懇談の時間では、麗澤高校に在学中に催された式典で、学園内で栽培されていた新茶を来場者にふるまったお話や、学生・生徒の名前を入学式の日にはすでに覚えている教員のエピソードが参加者からありました。些細なことですが、一人一人の学生・生徒を大事にする姿勢が麗澤の学園に連綿と息づいており、モラロジーに基づく教育の今後の継承発展に向けて何ができるかを考える一日となりました。
(文責:研究員 宗像 俊輔)